神奈川県内の企業と横浜市立大学吉永ゼミの学生による産学連携プロジェクトとして、海洋資源の再生と未利用資源の活用を目的としたクラフトビール「THE FISH」が開発されました。本企画は、コンビニエンスストア、回転寿司チェーン、クラフトビール業界など、食と海をつなぐ複数の事業者が協働し、持続可能な食文化のあり方を探る取り組みとして実施されました。
本製品は、環境再生型のコンブ「ぶんこのこんぶ」と、通常は廃棄される摘果みかんを原料として使用し、海洋環境保全と地域循環型経済の両立を目指す試みです。
【企画背景】
寿司や魚料理に合う専用のクラフトビールはこれまで存在していませんでした。「魚専用ビールがあったら面白いのではないか」そんな発想から本企画が始まりました。食の楽しみと環境課題を同時に考えるため、地域に根ざしたクラフトビールという形で、創造性とストーリー性を持つ新しい食文化の提案を目指しました。
この取り組みは、環境問題やブルーカーボン(海藻によるCO₂吸収)への理解を広めながら、地域の企業・漁業者・教育機関が連携し、次世代に続く持続可能な社会づくりを模索するものです。
【開発背景】
相模湾では、平成24年頃から磯焼けが深刻化し、岩礁藻場は98.5%、アマモ場は95%減少しています(横須賀市調査)。海藻は成長過程でCO₂を吸収・固定し、海底に炭素を貯める「ブルーカーボン」として注目されています。特にコンブは吸収係数が高く、海洋環境の回復と温暖化対策の両面で重要な役割を持っています。
こうした現状を踏まえ、「THE FISH」では環境再生型のコンブと、通常は廃棄される摘果みかんを原料として採用しました。地元で生まれた素材を使い、地元で消費する「地産地消」を通じて、CO₂削減にも寄与します。
「THE FISH」開発ストーリーは、以下の記事で紹介しています。
→ 海の未来を守るクラフトビール『THE FISH』ができるまで
【チャレンジ】
本企画では海藻を育てることで藻場を守り、地域で消費することで輸送に伴うCO₂排出を抑えるという、海と陸をつなぐ循環型の考え方を実践しています。また、「寿司に合うビール」という新たな挑戦を掲げ、魚介の旨味を引き立てるペールエールを開発。身近なクラフトビールを通じて、海の現状をより多くの人に伝えることを目指しています。
【今後の展望】
本プロジェクトは、大学・企業・地域が協働し、海洋環境の再生と地域文化の発信を両立させたモデルケースです。本取り組みを通じて得られた知見を基に、教育機関・企業・自治体との共創プロジェクトをさらに拡大していきます。幸海ヒーローズは、海洋資源の持続的な利用と地域連携による新たな価値創出を目指し、社会課題解決型の事業モデルを発信していきます。
「THE FISH」の概要
商品詳細URL : https://www.three-f.co.jp/company/pdf/251015newsrelease.pdf